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【えほん社の本棚 紙のえほん No.5】「ゆきだるま」

こんにちは。 
きょう、わたしのいるオフィスには柔らかな日差しが降り注いでいて、 
とっても気持ちがよいです。 
みなさまのところは、いかがでしょう。 
雪の降っているところもあるようですね。 
どんな風景の中で、このblogを読んでいただいているのかと思いを馳せます。
 

さて、きょう選ばせていただいた「クリスマス」をテーマにした一冊は、 
レイモンド・ブリッグズ「ゆきだるま」です。 
 
わたしが物心ついたころから本棚にある大好きな一冊をご紹介させていただきます。 
「ゆきだるま」は、ゆきだるまとゆきだるまを作った少年の 
とある一夜のできごとが描かれたえほんです。 
 
ベッドに入ってもどうも気になって、作ったゆきだるまを少年は外に見に行きます。 
すると、背を向けていたゆきだるまは、こちらを向き帽子をとって挨拶をしました。 
少年はお家に招き入れ、みんなが寝静まったお部屋をゆきだるまと探検します。 
それはそれはすてきな一夜のお話です。
 

セリフ・説明・お話の流れなどの文章はなく、すべて絵によって表されています。 
そのため、小さなお子さんも読むことができますし、 
異なる言語で話すこどもが一緒に読むこともできるのでは、と思います。 
色鉛筆を重ねているような柔らかな線の絵がお話の世界観をあたたかく創り上げ、 
漫画のようにコマが分かれている描き方によって、 
物語の展開を見事に感じさせてくれます。 
空を飛ぶシーンになると、心が踊り、頭の中でいつもBGMが鳴りだします。 
何度読んでも、年齢を重ねても、この感動は色あせることがありません。
 
 

つい先日のこと、本棚の「ゆきだるま」を手に取り、 
なぜだかひさしぶりに表紙をぼおっと見つめたのでした。 
絡まっていた記憶がするするっとほどけて忘れていたことをふっと思い出しました。 
ゆきだるまが、初恋のような存在であったこと。 
幼稚園に通っているくらいだったでしょうか、 
「ゆきだるま」を読んだある日にこんなひといいな、なんて思ったのでした。 
こどものころに出会うもの体験は、 
人となりを成形する要因のひとつだと思います。 
わたしはこのえほんに出会えていてよかったなと思うのと、同時に、 
両親に感謝しなくてはと思いました。
 

おおきな夢のあるおはなしの中に 
コミカルなユーモアさも含まれている「ゆきだるま」。 
冬の眠る前の一冊に、読むと素敵な夢が見られそうです。
 

(たねおい)

 

「ゆきだるま」

作・絵: レイモンド・ブリッグズ
出版社: 評論社(http://www.hyoronsha.co.jp
税込価格: ¥1,365(本体価格:¥1,300)
発行日: 1978年
ISBN: 9784566002258


2012年12月18日