こんにちは。
桜の季節も過ぎて、鮮やかな緑を目にするようになりました。
スプリングコートを着て散歩にでかけるのが、
なんとも気持ちがよい季節ですね。
4月のテーマは、「かたち」です。
3冊目の本日、ご紹介するデジタルえほんは、「まり」です。
紙のえほんとして、2002年に刊行されて以来ロングセラーの
絵・広瀬弦さん、文・谷川俊太郎さんによる「まり」。
この「まり」がデジタルえほんとして、発売されていること
ご存知でしたでしょうか。
紙のえほんに慣れ親しんでいた人に
デジタルえほんというのはこういうものなのかと
ひとつのかたちを提案したのが、この「まり」なのではと思います。
デジタルえほんの「まり」は、
紙のえほん「まり」がただiPadで読めるようになっただけではありません。
あたらしい作品となっています。
たとえば、声と音。
デジタルえほん「まり」には、
絵・広瀬弦さん、文・谷川俊太郎さんにさらに
ナレーションとして、クラムボンの原田郁子さんが、ご参加されています。
「まり」を読む声が
さらに世界観をつくっているようにかんじます。
そして、楽しみ方。
「よむ」だけではなく、
「あそぶ」という楽しみ方もあるのです。
ここでは、「あそぶ」をご紹介します。
「ころん」「ごろん」「ふわっ」「ぷるん」の4種類のまりを選んで、
まりを実際に動かして遊ぶことができます。
まりをタッチしたり動かしたり、画面を傾けて転がしたり、
4つのまりの動きを楽しむことができます。
何より面白いのは、それぞれのまりの質感です。
「よむ」で登場するオリジナルの「ころん」
岩のような「ごろん」
風船のような「ふわっ」
ゼリーのような「ぷるん」
それぞれの質感がとてもリアルに表現されています。
壁にぶつかってみたり、
棒にはじき飛ばされてみたり、
池の水面に浮かんでみたり、
それぞれのまりの反応の違いがとても興味深いです。
一度クセになるといつまでも夢中になって遊んでしまいます。
まだことばを覚えていない子にも
「ころん」「ごろん」「ふわっ」「ぷるん」という擬態語を
ことばの説明ではなく体感することで、
知ることができる点が、すてきだなと思いました。
ぼくがこの「まり」をいいなあと思うのは、その独特な「ゆるさ」です。
遊びの要素があるアプリの多くは、
にぎやかな音楽や楽しい演出が施されているものが多いのですが、
このアプリは派手なしかけはなく、静かでゆるやかな時間が流れています。
ユーモラスなまりの動きと、原田郁子さんによる静かで優しい音楽。
「まり」がもつ独特な「ゆるい」世界に触れることは、
こどもたちの穏やかな感性を育むことができるかもしれません。
(たねおい・ほりあい)
『まり』
販売元:NIPPON SHUPPAN HANBAI INC.
価格:1,200円
条件: iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.2 以降が必要
URL:https://itunes.apple.com/jp/app/mari/id482881647?mt=8
HP:http://www.toccoehon.jp/app/2012/09/post.html