こんにちは。
いきなりきょうは、質問をしようと思います。
たとえば、木を描くとき
葉を何色に塗るでしょう。
幹や枝を何色に塗るでしょう。
たとえば、お家を描くとき
何色に塗るでしょう。
今月は「色」をテーマに
えほんをご紹介しておりますが
きょう、ご紹介するアーノルド・ローベルさんの
「いろいろへんないろのはじまり」では、
葉っぱも幹も枝も、お家も、
もともとの、そのものの色はないという前提からはじまります。
はじまりは、はいいろのとき。
ほぼすべてのものは、はいいろで
はたまた、しろとくろをしているのでした。
まほうつかいは、その景色を変えられないかと
試行錯誤の末、
「色」をつくることができました。
あおいろのとき、きいろのとき、あかいろのとき
それぞれ、どうしても困ったことが起きてしまいます。
ことばを追って一度読むと
「はいいろのとき」からはじまり
ページを捲るごとにどんどんせかいが色鮮やかに変化していくこと
もしものせかいの素敵さを
感じました。
絵だけを眺めてもう一度読みました。
絵をじっくりゆっくり眺めてみると
一度目には見つけられなかった面白みを見つけることができました。
あかいろのときなど
一色の時代が訪れますが
あかはあかでも、濃淡の異なるたくさんのあかによって描かれていること。
また、その絵の中のひとの表情や
くすっとわらってしまう行動が紛れ込んでいること。
読むたびに「見つける」をすることができるえほんだなと思いました。
また、読んだあとにも
「色をぬってせかいをつくるのなら、さてどこに何色をぬろうかな」
「色になまえがなかったら、何色となまえをつけようかな」
と、色をめぐるもしものせかいに旅をしてしまいました。
現実にたくさんの色があることの素敵さを感じさせてくれる一方、
えほんが与えてくれるもしものせかいに、きもちを広げてくれる一冊だなと思いました。
(たねおい)
作・絵: アーノルド・ローベル
訳: まきたまつこ
出版社: 冨山房(http://fuzambo.net)
発行日: 1977年
ISBN: 9784572002051