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【えほん社の本棚 紙のえほん 29】「そらにかえれたおひさま」

 
 
 

こんにちは。

「くもりのちときどき晴れ 夕方から雨」
今朝、ラジオから流れてきた天気予報です。
空が劇場だとしたら、役者はめまぐるしい転換を行なっていて
たまにまちがって出てしまっても仕方ないかという気持ちになりました。 
 

さて、今月最後の紙のえほんのご紹介です。
テーマは「雨と音」
きょうの一冊は、
ミラ・ギンズバーグ文 / ホセ・アルーエーゴ、エーリアン・デューイ絵
『そらにかえれたおひさま』
です。  

 
くもがそらいちめんを覆っています。
みっかかんもおひさまは隠れたまま。
ひよこたちはどこへ行ったのかしんぱいになって探しにいくと言い出します。
めんどりのおかあさんは言います。
「どうやってさがすの?どこにすんでいるか知っているの?」
「知らないけど、聞きながらいけばいいさ。」
と、ひよこたち。
めんどりのおかあさんは、いろいろ言ったのだけれど
お弁当を用意して旅に出させてくれました。
ひよこたちは、どんな出会いをして、おひさまに出会えるのでしょうか。
おひさまは、どんなところでどう過ごしているのでしょうか。 

  

このお話は、スロバニア地方の民話をもとに紡がれています。
ひよこたちをはじめ、登場するものたちの表情が独特。
お話を聞く姿も、それぞれ赴くままに興味のあるところにいるのです。
えほんでは、あまり見たことがないような気がしましたが
それは、実際のひよこたちの自然なすがたが目に浮かぶものでした。

また、ひよこたちとめんどりのやりとりが描かれているページ。
たった数行の中に、
おとなの保守的さ・やさしさ、
こどものや無鉄砲さ・無垢さがぎゅっと描かれていて
ほれぼれしてしまいました。  
 

このお話を読んで、
まさに今のような梅雨の時期
おひさまはあかるく輝く方法をわすれてしまっているのかもしれない
と、そんな気持ちになりました。

雨が降りつづく日々があったとき、
こどもに「なんで雨ばっかり降るの?」と聞かれたときがあったら
ぜひ、このえほんをいっしょに読んでもらえたらいいなと
ご紹介させていただきました。

(たねおい)  

 

そらにかえれたおひさま

作: ミラ・ギンズバーグ
絵: J・アルエーゴ A・デューイ
訳: さくま ゆみこ
出版社: アリス館 (http://www.junposha.co.jp/alice/
発行日: 1984年01月
ISBN: 9784752040132

2013年6月25日