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【えほん社の本棚 デジタルえほん No.46】『Midnight Feast』


 
 

こんばんは。
 
 

ボローニャ受賞作品紹介5作品目、本日は『Midnight Feast』のご紹介です。
 
 

 
 
Fiction部門の”MENTION”として選出された本作、審査員の方々からのコメントは以下のようなものでした。
  
  
“Midnight Feastは、私たちにタッチスクリーンによる物語が、決して小さな子どもたち向けのものに限らないことを思い出させてくれる。
(Midnight Feast by Slap Happy Larry (Australia) reminds us all that touch screen storytelling isn’t exclusive to the very young.)”

 
 
Children’s Technology Reviewsより  
 
 
デジタルえほんの多くは、
小さなこども向けに作られたものと捉えられがちではありますが、
実際には、0歳から10歳代まで、
幅広い年齢の子どもたちが触れているのが現状です。
 
  
急速に普及したスマートフォンやタブレット端末は、
小さな子どもからある程度の読み書きができ、主体的に使いこなすことができる子どもまで、
様々な子どもたちにデジタルえほんに触れる機会を与えています。
 
 
“真夜中の御馳走=Midnight Feast”と題されたこの作品は、
小さいお子様向けというより、もしかしたら弟や妹がいたり、
小学校も高学年になってきたような子どもたちにとって
意味をもつ作品になるのではないかと思います。
 
 

 
 
どこか無国籍な赴きのあるイラストと、
もの憂気な色合いで描かれた夜の街路。
 
 
眠ってしまうのがもったいないような気持ちで、
ぼんやりと窓の外を眺めながら夜を過ごしている主人公のRoyaは、
窓辺に訪れた一匹の黒猫と、想像の中でおしゃべりをします。
  
 
黒猫が語る真夜中のパーティ。
そしてそこで振る舞われるという“真夜中の御馳走”の存在に、
次第にRoyaは魅せられていきます。
 
 

 
 
眠れないまま過ごす真夜中の部屋の中で、静かに動く“黒い影”の存在や、
 
Royaが見る、ここではないどこか遠い場所の光景が、
 
インタラクティブなビジュアルエフェクトとして表現され、
 
次第に物語は妄想と現実の境目が曖昧になっていきます。
 
 

 
 
なんとなく大人たちとの間に距離を感じながらも、 
幼い妹や弟のように振る舞うことではない、
そんなおとなとこどものあいだに位置する年齢のこどもたち。
 
この作品は、そんなこどもたちの漠然とした不安感や、
その裏にある静かな期待感に揺れる微妙な心の機微を描いた、
繊細なストーリーの作品だと思います。
 
 
外出先のレストランや、車の後部座席で、
どこか窓の外を眺めてぼんやりしているお子さんに、
そっとすすめてみてはいかがでしょうか。
 
(ほりあい)
 
販売元: Dan Hare © Slap Happy Larry
価格:¥300
互換性:iOS 5.0 以降。 iPad 対応。
URL:https://itunes.apple.com/jp/app/midnight-feast/id608825489?mt=8
HP:http://www.slaphappylarry.com/story-apps/midnight-feast/
 
 
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※デジタルえほんアワードでは応募作品を募集しています。
 
募集部門は、<企画部門><作品部門>の2つ。
 
こんなデジタルえほんがあったらいいなといったアイデアをお持ちの方は<企画部門>
 
ぜひわたしのデジタルえほんを見て欲しい!という方は<作品部門>にご応募下さい。
 
各部門グランプリには賞金20万円、準グランプリには5万円が贈呈されます。
 
ご応募いただいたものは、豪華8名の審査員によって審査されます。
 
応募締め切りは6月20日(金)。
 
皆様のご応募をお待ちしております!
 
 
詳細はデジタルえほんアワードオフィシャルサイトホームページをご覧下さい。
 
 
【第三回デジタルえほんアワード開催概要】
 
■ 募集部門 : 企画部門、作品部門
 
■ 募集期間 : 2014年4月8日(火)〜2014年6月20日(金)
 
■ 賞 典:企画部門グランプリ(賞金20万円)
     作品部門グランプリ(賞金20万円)
     企画部門準グランプリ(賞金5万円)
     作品部門準グランプリ(賞金5万円)
     各部門審査員特別賞 など
 
■ 審査基準
 
審査は以下の3つの要素に基づき行います。
 
・たのしい!
 (こどもたちを魅了し、夢中にさせる楽しさ)
・みたことがない!
 (これまで出会ったことのない新しい表現)
・世界がひろがる!
 (こどもたちの想像力・創造力を育み、世界を広げてくれるしかけ)
 
≪デジタルえほんとは?≫
タブレット、電子書籍リーダー、電子黒板・サイネージ、
スマートフォン等テレビやパソコン以外の新しい端末を含む
子ども向けデジタル表現を総称して「デジタルえほん」としています。
 
■ 審査員
※敬称略・五十音順
・いしかわ こうじ / 絵本作家
・角川 歴彦 / 株式会社KADOKAWA取締役会長
・香山 リカ / 精神科医・立教大学教授
・きむら ゆういち / 絵本作家
・小林 登 / 東京大学名誉教授・国立小児病院名誉院長
・杉山 知之 / デジタルハリウッド大学学長
・水口 哲也 / クリエイター・プロデューサー、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(Keio Media Design)特任教授
・茂木 健一郎 / 脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学研究特任教授
 
2014年7月開催の審査会を経て、2014年8月29日、30日開催の
ワークショップコレクション10」 (主催:NPO法人CANVAS)内にて
結果発表及び表彰式を行います。
 
 
主催:株式会社デジタルえほん、NPO法人CANVAS
 
協力:愛知県立大学情報科学共同研究所
   中京大学工学部宮田研究室
   デジタルハリウッド大学
   武蔵野美術大学
   東北芸術工科大学
   札幌メディアアーツラボ
   女子美術大学
   慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
   東京大学大学院 情報学環・福武ホール
   東京コンテンツプロデュースラボ
   早稲田大学国際情報通信研究センター
 
■公式サイト
http://www.digitalehonaward.net

2014年4月28日