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【えほん社の本棚 紙のえほん 037】『グリンピースのいえ』

 
 
 
 

こんにちは。
空がたかく、くもがすこし繊細になっていますね。
コオロギやスズムシの鳴き声に耳をすまして眠るこのごろです。
読書の秋、運動の秋、食欲の秋などと言われますが
どのような秋をお過ごしでしょうか。 
 

さて、今月のテーマは〈たべもの〉
たべもののなまえのついたかえるのお話をご紹介いたします。
及川賢治さん、竹内繭子さん作・絵
『グリンピースのいえ』
です。 

グリンピースという缶のふたからだれかが顔を出しています。
このおはなしの主人公、その名もグリンピースです。
この缶は、実はグリンピースのお家の玄関。
お家の中へとすすんでいくと
いいおとのするソファがあったり
たくさんの本があったり。
落ち葉の下には、グリンピースのすてきなお家がひろがっているのです。
冬のある一日のおはなしです。  
 

わたしたちが楽器として指でならすピアノがソファになり
空き瓶がたからものとしてまいにち磨かれていて
タイヤがおふろになっているグリンピースのお部屋。

ページをめくるごとにわくわくして
グリンピースの目線のせかいを想像します。

よく見たことのあるものなのに
なぜこんなにもわくわくするのでしょう。

グリンピースがそのものとどんなふうに出会い
使い方を想像しているところを思い浮かべても
なんだかそれはとってもすてきなことのように思います。 
 

にんげんの見ていないせかいは、こんなふうにひろがっているかもしれない。
そんなわくわくしたきもちになる一冊です。

(たねおい)
 
 

グリンピースのいえ
作: 及川 賢治 竹内 繭子
絵: 及川 賢治 竹内 繭子
出版社: 教育画劇 (http://www.kyouikugageki.co.jp

2013年10月15日
【えほん社の本棚 紙のえほん 036】『はがぬけたらどうするの?』

 
 
 

こんにちは。
まだまだ暑いとかんじる日もありますが
秋をかんじるこのごろです。
きのこや栗、さんま、さて、きょうは何をたべましょう。
 

今月のテーマは、「からだ」です。
きょうは、おいしいものをたべるために
大切にしたい歯のことを取り上げているえほんをご紹介いたします。
セルビー・ビーラーさん文、ブライアン・カラスさん絵の
『はがぬけたらどうするの?』がきょうの一冊です。

 

はじめて生えたちいさな歯がぐらぐらとしてぬけたこと、
歯医者さんへ行ってぬいてもらったことがあるでしょうか。
そして、ぬけた歯は、どうしましたか。
わたしが行なったことをみんなも行なっていると思っていたら
どうやらそうではないようなのです。
このえほんでは、世界中のこどもたちがぬけた歯をどうするか
おしえてくれる、そんなえほんです。 
 

わたしの当たり前は、当たり前ではないということを知ることを
とっても豊かなことだと思います。
当たり前なんてないのだなと感じることができて
お互いを認め合えることができることはとってもいいなと感じます。
 
 

たとえば、こんなふうにするそうです。

ーぬけた歯をまくらの下にいれて眠ると、
はのようせいはやって来て、ぬけたはをもっていって、
変わりにおかねかお菓子を置いていってくれるー

ーぬけたはに金メッキをして、その子だけのイヤリングをつくってくれるー

ーぬけたはをきねんにとっておくー

ーまくらの下にいれておくと
ル・プチ・スーリというちびネズミがはを持っていってくれるかわりに
プレゼントをくれるー

 
 

いろんな風習のところがあります。
それぞれが異なるから目にうつるけしきもかんがえも
変わるのだなと思います。

それぞれの風習は大切にされていて、
そのことはいとおしいことに思いますが
また一方で、絶対的なことではないというのに安心もします。 

しかし、どこでも、はがぬけるということは
なにかとくべつなことに感じられていたことは共通しているのでしょうか。
はじめのはがどうしてぬけて、生え変わるのか。
にんげんのからだはふしぎがたくさんですね。
(たねおい)
 
 
 

はがぬけたらどうするの?―せかいのこどもたちのはなし

作: セルビー・ビーラー
絵: ブライアン・カラス
訳: こだま ともこ
出版社: フレーベル館 (http://www.froebel-kan.co.jp
発行日: 1999年
ISBN: 9784577019870

2013年9月17日
【えほん社の本棚 紙のえほん 035】『きもち』

 
 
 

こんにちは。
すずしくなってきたかなと思っていたら
「あついね。」ということばをかわす日がつづいています。
残暑。
あとすこしのことしの夏を、味わって
おいしくアイスでもたべたいなと思います。
 

さて、今月のテーマは、「からだ」
からだには、いろいろな名前のついているばしょがありますね。
て・め・あし・くち・はな・おへそ・・・・。
名前がついているばしょでも、じぶんには見えないばしょもあります。
どんなところがあるでしょう?
 
 

きょうは、じぶんには見えないからだのひとつ、
こころのことが描かれたえほんをご紹介します。
谷川俊太郎さん文・長新太さん絵の『きもち』がきょうの一冊です。
 

お母さんにおねがいごとをするとき
お父さんとお母さんがなにか言い合っているとき
ともだちとおもちゃを取り合うとき
「ぼく」のきもちはうごきます。
どきどき、ずきん、めらめら。

「ぼく」の前にいるお母さんやお父さん
おもちゃを取り合うともだちにも、きもちがあります。
「ぼく」がおもちゃをうばったとき
ともだちはどんなきもちだろう。
 
 

『きもち』は、絵を読むえほんです。
長新太さんが描く1ページ1ページは、
その場面や状況を想像させます。
そして、描かれたひとの表情から
自然とそこに描かれた事実だけではなく
きもちをかんじたり、かんがえたりして、よみました。
  
ひとのきもち、じぶんのきもち、それぞれは異なるきもち。
こどもも、おとなも、あるきもち。
 
よみながら、よんでいるひとのこころもうごくえほんです。
(たねおい)
 
 
 
きもち

作: 谷川 俊太郎
絵: 長 新太
出版社: 福音館書店 (https://www.fukuinkan.co.jp
発行日: 2008年02月
ISBN: 9784834014884

2013年9月3日
【えほん社の本棚 紙のえほん 034】『ジャイアント・ジャム・サンド』

 
 
 

こんにちは。
おひさしぶりです。

8月もあっという間にさいごの週ですね。
風は、もう秋を感じさせます。

さて、「むしと森」がテーマの8月
きょうのえほんは
ジョン・ヴァーノン・ロードさん『ジャイアント・ジャム・サンド』です。 
 
 

むしあつい夏の日、チクチク村に400万匹のハチの大群がやって来ました。
どこへ行っても、ブンブン、チクチク。
村のみんなは「もうたまらん!」と困っています。
このハチをどうしたらいいか、村のみんなは集まり、話し合うことにしました。

どうすりゃいいかとなかなかだれも思いつかないでいたときに、
パン屋のおじさんがすっくと立ちあがり言いました。
「ハチがいちばんすきなのは、なんだ?
 イチゴのジャムだ、だとすると・・・・・・
 ジャイアント・ジャム・サンドつくってわなにしたら?」

村のみんなは、だいさんせいです。

ここから、村のみんなでジャイアント・ジャム・サンドがはじまります。 
 

 

タイトルを読んだだけで、わくわくした気持ちが湧いてくる
『ジャイアント・ジャム・サンド』。

どんなえほんかとよみはじめたら、
タイトルからのわくわくがぐんぐんぐんぐん増していきます。
 

ジャムをぬる場面が、なんとも素敵です。
おおきなパンの上に、おとながたくさんのっかって
シャベルでバターをぬっていたり!
トラクターでバターをのばしていたり!
スコップでイチゴのジャムを運んでいたり!

スコップやジャムを持って、
おおきなパンに向かって村民たちが行進しているすがたも
なんだかたのしそうです。  
 

おおきなパン、
大量のジャム、
ふうせんで浮かぶトラクター。

絵にも、おはなしにも、
ファンタジーとユーモアがたくさん含まれていて
よみおわって、
きもちがきらきら元気になりました。
 

眠る前に、読み聞かせをしたら
とってもいい夢見られそうです。
(たねおい)
 
 

ジャイアント・ジャム・サンド (えほんライブラリー)
作・絵: ジョン・ヴァーノン・ロード
訳: 安西 徹雄
出版社: アリス館 (http://www.junposha.co.jp/alice/
発行日: 1976年
ISBN: 9784752040125

2013年8月27日
【えほん社の本棚 紙のえほん 033】「とべバッタ」

 
 

こんにちは。
8月になりましたね。
セミが鳴いて、青いそらがひろがっていて、夏にいることを感じます。 
 

今月は〈むし・森〉をテーマに
えほんをご紹介させていただきます。
きょうの1冊は、田島征三さんの『とべバッタ』です。 
 
 

ちいさなしげみの中に、一匹のバッタが隠れてすんでいました。
そこには、くもやかまきり等おそろしいものたちもいて
バッタをたべようとねらっていました。
バッタは、びくびくしながら暮らしていたけれど
おびえながらいきていくのが、つくづくいやになったのです。
そして、あるひ、バッタは決意をしました。
それは、とってもおおきな決意でした。
その決意によって、バッタが見た景色とは。   

  

とてもちからづよく、
見ているわたしもどくどくこころがうごき
さらさらっと見ることはできない田島さんの絵。
すこし足がすくむくらいに
血が通っていて熱をかんじます。 

 

このえほんに出会ったとき
バッタとじぶんのことを比べました。

このバッタのように、決意をして風景を変えられているだろうか、と。

風景を変えることは、勇気がひつようで、あしがすくむかもしれません。
けれども、じぶん以外変えることはできません。
いつもの風景は、じぶんのちからで歩いているか。
くるしい思いも、こわい思いもするかもしれないけれど
その先に見える景色はどんな景色だろう。  

わたしに問いながら、このえほんを読んでいました。
そして、またこのえほんを読もうと思うのです。
 

こどもにも、おとなにも、大切な1冊になると思います。
ぜひ、読んでみてください。
(たねおい)

  

とべバッタ (田島征三)
作・絵: 田島 征三
出版社: 偕成社 (http://www.kaiseisha.co.jp
発行日: 1988年7月
ISBN: 9784033311401

2013年8月6日