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【えほん社の本棚 デジタルえほん No.34】「ヌカカの結婚」


 
 
こんにちは。
 
 
じーじー、みーんみんと、虫の鳴き声とともに一日が始まる8月。
 
 
今月は〈むし・森〉をテーマに、デジタルえほんの紹介をさせていただきます。
 
 
 
本日ご紹介するのは、「ヌカカの結婚」です。
 
 
 

 
 
 

“その昔、男も女も子どもを生んでいました”
 
 
 

episode01“男と女に”の冒頭の一文です。
 
 
ここでは、男も女も、“自分が分裂するように”子どもを生んでいたときのことが語られます。
 
 
 

 
  
あたまに“はてな?”を浮かべながら読み進めてみると、なるほど、最後に謎解きがあります。
 

このおはなしは、まだ生命に性別がなかった頃、種の保存としての性別が誕生するものがたりだったのです。
 
 

本作品「ヌカカの結婚」は、生き物のふしぎ、虫の生態について、ものがたりのように読み進めながら学ぶことができる、不思議な雰囲気をもつデジタルえほんです。
 

 
全13のエピソードの中で、さまざまな虫たちの生態が、どこか不気味ながらもかわいらしいアニメーションと音楽とともに描かれています。
 
 
 
 
たとえば、こどもたちにとっても馴染みのあるアリ。
女王アリが生涯数百匹の子どもを生む秘密について、“100人の求婚者”の中で描かれています。
 
 
  
  
他にも、女王蜂やカタツムリ、クモなど、馴染みの虫たちの、人間からしてみればびっくりするような奇妙な生態、残酷な現実が、可愛らしい人間のかたちをキャラクターを通して描かれています。
 
 
 

  
 
 
「ヌカカの結婚」の中で描かれる「生命」についてのものがたりは、こどもたちにとってははてな?の連続かもしれません。
特に謎解きのところは、お父さんお母さんの説明が必要かもしれません。
  
   
 

けれど、この作品がもつ独特な雰囲気の中で描かれる「死」は、子どもたちにこころに小さな「生」の波紋を広げていくように思います。
 
たとえその時に意味はわからなくても、こころの中に残るその小さな波は、確実に子どもたちのこころに残り、いつか特別な意味を持つことなると思うのです。
 
 
 
 
 
小さい子どもたちの中には、アリの行列を踏んで遊んだり、アリの巣を埋めて遊んだりしてしまう子も少なくないと思います。
  
 
  
それがどうしていけないことなのかを説明することは、とても難しいことです。
 
 
  
 
そんなときに、この「ヌカカの結婚」のようなえほんを介して触れる「死」が、子どもたちのこころの中で広がっていく様子を、そっと見守ってあげれたらなと、筆者は思います。
 
少し気難しいお子様におすすめかもしれません。
 
(ほりあい)
 
「ヌカカの結婚」
販売元: Muu Muu Co.,Ltd.
価格:¥350
条件: iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.1.3 以降が必要
URL:https://itunes.apple.com/jp/app/nukakano-jie-hun/id364585889?mt=8
HP:http://www.muumuu.com/product.html

2013年8月7日