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【えほん社の本棚 紙のえほん No.12】「14ひきのさむいふゆ」

こんにちは。
先日、89才の現役郵便局員の特集をテレビで拝見しました。
雪の中、まいにち、5km往復してお手紙を配達しているそうなのです。
雪の坂道をのぼって、さて、下り道。
なんと、そりでしゅーっとくだっていきました。
歩くよりも転ぶ心配がないと、その女性はおっしゃっていました。
そりでさっそうとすべる女性が印象的で、ついお話ししてしまいました。

さて、今月のテーマは、「冬・雪」
きょうは、そりすべりをしている家族が表紙のえほんをご紹介します。
いわむらかずおさんの「14ひきのさむいふゆ」です。

14ひきのねずみの家族の生活や日常を切り取ってのぞいているようなシリーズえほん、
「14ひきシリーズ」

「14ひきのさむいふゆ」は、
風がなり、雪が舞う、さむいさむい冬の日々を過ごす
14ひきの家族の生活
が描かれています。

ストーブがもえているあったかいお家の中では、
おばあちゃんはおまんじゅう作りを。

雪のつもったそとでは、
まぶしい太陽の下、家族みんなでそりすべりを。
 

ころんでいたり、ぶつかっていたり、
いきおいよくすべっていたり、
描写も細やかでまるで、えほんの中にいるような気持ちになります。
 

同じ場面でも、14ひきそれぞれが、あらゆる表情を見せてくれています。
それぞれのキャラクターがどんなことをしているか、
お話しながらよみすすめてみると、ぐっとこのえほんを楽しめると思います。

たとえば、
「よっちゃんは、どんなぼうしをかぶっているか」
「とっくんは、トラックになにをのせていたかな」

など
いっしょに読みながら親子での会話も膨らむえほんだと思います。

「いつかあそびにいってみたいな」と思う14ひきの家族の生活、
冬編です。
この時期に、ぜひ。
(たねおい)

作・絵: いわむら かずお
出版社: 童心社 (http://www.doshinsha.co.jp
税込価格: ¥1,260(本体価格:¥1,200)
発行日: 1985年11月
ISBN: 9784494006274


2013年2月12日
【えほん社の本棚 紙のえほん No.11】「チョコレートパン」

こんにちは。
こちらはカーディガンで過ごせるような日があったかと思えば、
雪の予報もあるようなこのごろです。
よせてはかえして、春に近づいていくことを感じます。

2月のテーマは、「冬・雪」です。
冬の行事にまつわるえほん、
冬によみたくなるえほんをご紹介しようと思います。

冬になると、チョコレートがお菓子コーナーにたくさん並びますね。
そして、バレンタインデーも。

2月、1冊目のえほんは、そんなチョコレートのパンを題材としているえほんをご紹介します。
長新太さん「チョコレートパン」です。

どこかの山の中に、チョコレート池がありました。
そこへ、パンがやってきて、池につかることにしました。
池からあがると、そこには出来立てのチョコレートパン。
つぎに、ぞうがやって来ます。
まさかと思うと、ぞうもチョコレート池へ。
リスやネズミやうさぎまでチョコレート池へつかるのです。
さあさあ、どんなことになるのでしょう。

わたしが、このえほんに出会ったのは、おとなになってから。
チョコレート池!?
パンが歩いてくる!?
どうぶつがはいるの!

文章の長さはみじかいけれど、
ページをめくるごとに、「びっくり」と心がうごきました。

2才くらいのちいさなお子さんにファンが多いという「チョコレートパン」。
ナンセンスと言われる長さんの世界観は、
こどもにはどのように響くものなのか、とっても興味深いところです。
わたしが、2才のときに
「チョコレートパン」に出会っていたら
どんな気持ちになるのだろうと思います。

チョコレートパンをたべるときに、
「チョコレート池に歩いていってきたのかな」と思っていたかもしれません。

こどものお話に耳をすますと、
えほんのせかいもびっくりするようなことたくさんありますよね。
エピソードひとつ、ひとつ、大切に聞いていきたいですね。
(たねおい)

作・絵: 長 新太
出版社: 福音館書店 (http://www.fukuinkan.co.jp
税込価格: ¥840(本体価格:¥800)
発行日: 2010年03月
ISBN: 9784834025491


2013年2月5日
【えほん社の本棚 紙のえほん No.10】「みちくさ劇場」

こんにちは。
風は、まだ肌にきーんと、鼻にツンとさすように冷たい日が多いですが、
日中はみちくさしたくなるような暖かい日差しが届いてくるようになりました。

きょうご紹介するえほんは、
どうぶつや植物などがどこかへ行く途中、
みちくさをしているときのお話です。

その名も、「みちくさ劇場」
荒井良二さんが絵と文章を描いています。

子犬のミケ、ねこのポチ、
ぼうしのニットくん、カメのイソガシさんなど
12の主人公のみちくさ話がつまっているえほんです。

ここでは12のお話の中から
1つ、わたしのお気に入りのみちくさ話をご紹介することにいたします。

「アザラシのアタラシさん」が主人公のお話です。
アタラシさんは新しいもの好きで、
ついつい余計なものまで買ってしまいがち。
でも、きょうは必要なものだけ買おうと心を決めてお買い物へ出かけます。
「ハブラシ ハブラシ タオルだけ」
とうたいながら。

公園で一休みすることにしたアタラシさんは
よくがまんしている自分に
新しい味のアイスクリームを買ってたべました。

アタラシさんは、買っちゃったのです。
うふふっと、くすくすと、
すこし軽やかな気持ちになるお話が12話つまっています。

以前、わたしは、
いそがしく過ごしている友人のたんじょうびプレゼントに
「みちくさ劇場」を送ったことがあります。

珈琲をのむような、
お昼寝をするような、
一息のできるえほんだなと感じて、
すこしお休みできますようにという気持ちを込めて送りました。

こどものみならず、お母さんやお父さんにもおすすめしたいえほんだなと思っております。

来月からは、また違うテーマでえほんをご紹介させていただきます。
お楽しみに。
(たねおい)
 

作・絵: 荒井 良二
出版社: あかね書房 (http://www.akaneshobo.co.jp
税込価格: ¥1,155(本体価格:¥1,100)
発行日: 1999年
ISBN: 9784251098276

2013年1月29日
【えほん社の本棚 紙のえほん No.9】「もりのなか」

こんにちは
日がすこしずつ長くなっておりますね。
こどものころは「いちばん日が短いのは2月」、「いちばん日が長いのは夏休み」
そんな風に感じておりました。
同じ現実だけれど、
こどもだけにある現実というようなものってありますよね。

きょうご紹介する紙のえほんは、まさにこどもだけの世界のお話です。
マリー・ホール・エッツ「もりのなか」です。

紙の帽子をかぶり、らっぱを持って、
少年はもりへ散歩に出かけました。
いくつものすてきな出会いのある散歩になりました。

はじめの出会いは、らっぱの音に目を覚ましたライオン。
昼寝から起きたライオンは
「かみをとかしたら、ついていっていいかい?」
と少年に並びいっしょに散歩をすることになりました。

2頭のこどものぞうも
少年とライオンを見つけると水浴びをやめて、ついてきました。

このあと、どんなどうぶつに出会えたでしょうか。

わたしの好きなシーンは、
少年はらっぱを吹き、ライオンは吠え、ぞうは鳴き、
まるで楽隊のように行進するシーンです。
少年とはじめて会ったみんなが、
じぶんの声を出し、じぶんの音を鳴らし、
むりをすることなく、自然と連なり歩いていく。
音楽の素敵な力
すぐにともだちになれてしまうこどもの特性を感じます。

はじめて「もりのなか」のページをめくったとき、
すべて白黒で描かれた質感のある絵に、
薄暗くものがなしく、ざわざわした気持ちになりました。
そして、どうぶつがぱっと消えてしまうシーンに対して、
「どこへ行ってしまったのだろう。」
と不安に思ったことが印象的でした。

読んだときの気持ちや絵への印象は、
じんわりとずっと心の中に残るもののようで、
読み直してもその気持ちを思い出します。

内容だけではなく読んだときの印象も含め、
えほんは気持ちを育むきっかけになるかもしれませんね。

「もりのなか」は決して特別なお話ではなく、
こどもの目にうつる世界のひとつのたとえ話のように思います。

おとなとこどもで読んだ印象が異なりそうです。
こどもといっしょに読み、感想を言い合ってみたら、
どんなおはなしができるでしょうか。

(たねおい)

作・絵: マリー・ホール・エッツ
訳: まさき るりこ
出版社: 福音館書店(http://www.fukuinkan.co.jp
税込価格: ¥1,050(本体価格:¥1,000)
発行日: 1963年12月20日
ISBN: 9784834000160


2013年1月22日
【えほん社の本棚 紙のえほん No.8】「アンガスとねこ」

 

こんにちは
事務所のある東京でも雪が降りました。
お読みいただいているみなさまの場所にもう雪は降っているでしょうか。

さて、「どうぶつ」をテーマにご紹介させていただいている今月。
2册目のきょうは、マージョリー・フラック「アンガスとねこ」
ご紹介させていただきます。

スコッチ・テリアのアンガスは、日ごと大人になるにつれて
いろいろなことを覚えています。

たとえば、かえるがとべること。
たとえば、ふうせんがわれてしまうこと。

覚えたことはいくつもあるけれど、
アンガスはまだまだ知りたいことがありました。
そのひとつが、ねこです。

アンガスのごはんをちょっとたべるねこ。
ときどき耳をひっかくねこ。

アンガスは厄介なやつともしかしたら思っていたかもしれませんが、
同時に、とてもねこのことを気にしているのでした・・・

登場人物はアンガスとねこのみ。
とてもシンプルな内容ですが、
読後、じんわりとやさしい気持ちが残りました。

「アンガスとねこ」は、インターネットで出会い、購入したえほんです。
これまで、紙のえほんとの出会い方は、
書店または図書館で手に取って選び
読むということがほとんどでした。

読んだことないえほんをインターネットで
購入したことがなかったのですが、
異なるえほんを探していたときに、
おすすめのひとつとして表紙が表れ 
書店でふっと手を取るように内容も確認せず、 
購入してたのが、このえほんです。

いわゆるジャケ買いです。

そのジャケ買いは、期待を裏切ることなく、むしろ上回り、
この出会い方がくせになるきっかけの一冊となりました。

4才くらいの子からお読みいただける「アンガスとねこ」。
おとなになっても、ながく付き合いたいそんな一冊です。
(たねおい)

 

作・絵: マージョリー・フラック
訳: 瀬田 貞二
出版社: 福音館書店 (http://www.fukuinkan.co.jp
税込価格: ¥1,155(本体価格:¥1,100)
発行日: 1974年10月01日
ISBN: 9784834003406

2013年1月15日